
電車の車内で靴を脱ぐ行為について、賛否両論あるようです。
そこにルールはあるのでしょうか。マナーがあるのでしょうか。
大人の場合、子供の場合はどうでしょうか。
鉄道ライターがその経験などを元にお答えします。
靴を脱ぐメリット・デメリット
そもそも何がよくて、新幹線や特急列車などの車内で靴を脱ぐのでしょうか。
- 足の窮屈さがなくなって楽
- ボックス席の場合、前の席に足を乗せられて楽
ふたつ目について賛否両論あると思いますが、ひとまず置いといてください。
では「車内で靴を脱ぐ行為はNG」とする理由には、どんなものがあるでしょうか。
- 足のにおいが周囲に広がる
- 靴下も不衛生
こんなところでしょうか。
つまり、靴を脱いだ本人にはメリットがあるものの、周囲にはデメリットしかない、わけですね。
問題になるわけです。

電車の「靴」に関するルールは?
「車内で靴を脱いではいけない」というルールは、存在していません。
ただJRの旅客営業規則「第10章 手回り品」には、車内へ持ち込めないものについて、次の条文があります。
- 不潔又は臭気のため、他の旅客に迷惑をかけるおそれがあるもの(第307条第1項)
該当する場合、「車内から退去させる」となっています(ごくシンプルに表現すると)。
「不潔、臭気の原因になる場合は列車に乗せない」というルールがあるわけですね。
着ている衣服も対象?
しかし、これは「手回り品(持ち物)」に関するルールです。
衣服など、身につけているものにも適用できるのか……。
仮に適用できるとして、「持ち込み品が不潔、臭い場合」はともかく、「その人や衣服が不潔、臭い場合」は現実的なところ、複雑な話になりそうな気がします。私にはよく分かりませんけども。
ただこの条文から、「車内で不潔なもの、臭いものはNG」という明確なルール、原則がある、とは言えそうです。
「車内で靴を脱ぐ」はNG?
ですが、「においの問題」は難しいですよね。
たとえば人間の体臭的な話だと、どうしようもない場合がありますし。
なので「どうしようもない場合」はおいとくとして、公共の場である車内では、とりあえず「それをやったら不潔、臭くなる」ことはやめようよ、そういうマナーにしようよ、というのは、現実的な話にも思います。
……となると、「車内で靴を脱ぐ」はNGになるのでしょうか。
靴を脱いで使う席
新幹線のグリーン車にあるフットレストは、足置きがそのままの状態だと靴を履いて、足置きを裏返した状態では靴を脱いで使うしくみです。
JRの特急列車にあるグリーン車も、そうして足置きを裏返せるものは、同じ使い方ですね。
これらは特に「靴を脱いで」とは明記されていませんが、近鉄の特急「ひのとり」にあるフットレストは、「靴を脱いで」と明記されています。
現時点で「車内で靴を脱ぐ」ことは一般的な利用の範囲内であり、基本的には問題ないというのが鉄道会社側の考えで、これまでの慣例になっている、といえるでしょう。

食事・飲酒・化粧…
とはいえやはり、「においの問題」は難しいですよね。
「車内で靴を脱ぐ」行為を不快に感じる場合があるのは事実で、そうした「においが出る行為」をやめようよ、という考えが出てくるのは当然だと思います。
しかしそうすると、車内での食事、飲酒、化粧なども引っかかってくる可能性が……。
「不潔、臭いはダメ」というルールはあるものの、どこからが「不潔、臭い」になるのか、明確な基準はありません。
その線引きは、その時代の社会通念、マナーの考え方による、となるのでしょう。
少なくとも現時点では、靴を脱いで使う席があるように、社会通念上、「車内で靴を脱ぐ行為」自体は問題ではない、ということになっている、といえそうです。
『クレヨンしんちゃん』の野原ひろしが靴を脱いだら、問題どころか異臭騒ぎになるかもしれませんが。
ヤバかった昭和の靴脱ぎ
昭和の時代、車内で靴を脱ぐ行為は当たり前のように行われていた気がします。
平成の時代も、少なくとも中期ぐらいまでは結構、そうだったかもしれません。
靴を脱いで、足を床に敷いた新聞紙の上にのせる。
ボックス席で靴を脱いで、向かいの席に足をのせる。
よく見ました。
というか、それ以上のこともありました。

荷物どけてくれない?
昭和末期から平成初期、私が中高生ぐらいのときだったでしょうか。
私は4人掛けのボックス席窓側に座り、車内は空いていたので、隣に荷物を置いていました。
ある停車駅からおじさんが乗ってきて、私の右斜め前(進行方向逆向き通路側)に座ります。
おじさんは、私に言いました。
「足をのせたいから、荷物どけてくれない?」
つまり、私の座っているすぐ横に、自分の足をのせるぞ、と言っているのです。
しかも、私に荷物をどけさせて。
これには、さすがの当時でも「はぁ?」となりました。
荷物、どけてしまいましたけども。
それはまだマシだった
さらにヤバいこともありました。
同様の状況で、いきなり足をのせてきた人がいました。無言で、私の荷物が置いてある場所に。
さすがに足は荷物の上でなく、荷物の横でしたが、だからOKというものでもありません。
令和のいまだったら、SNSにさらされそうですよね。
まあでも、私より上の世代ではこうした行為、特に問題ではなかったのかもしれません。
令和のいま、車内での靴脱ぎについて、特に若い方が違和感を覚えているように見えます。
平成初期、上の世代に違和感を覚えた若い私も、それと同じなのかもしれません。
それでも、この2例はどうかと思いますが。
車内での靴脱ぎ問題まとめ
昔話はさておいて、「車内で靴を脱ぐ」ことについて、まとめます。
- 靴を脱ぐと楽
- ふつうに靴を脱いでいた時代があった
- 令和の現在も、靴を脱ぐ人はいる
- 靴を脱いで使う席や設備が存在する
- 社会通念上「靴を脱ぐこと」は問題行為ではない
- 「不潔、臭いものはNG」というルールはある
- 「靴を脱ぐ」は周囲への迷惑になり得る行為
- 令和の現在、SNSでは「靴を脱ぐこと」に否定的な意見も少なくない
昔から不快に思っていた人がいて、SNS時代になりそれが可視化されてきたという部分も、少なからずあるのでしょう。

「車内で靴を脱ぐ」アリかナシか?
電車の車内で靴を脱ぐ行為について、昭和生まれの私は車内が空いていれば、そこまで気にしないです。
それを言うなら、靴を脱いで使う個室じゃないお座敷席はどうなるんだ、というのもありますしね。
ただ車内で、少なくとも次の行為は完全NG、マナー違反だと思います。
- 知らない人が座っているボックス席で靴を脱ぐ
- 2人掛けの席で隣が知らない人なのに靴を脱ぐ
もちろん、靴や靴下が清潔であるのは大前提です(なにやら矛盾をはらんだ表現ですが)。
あと、ここまでつらつらと書いてきたのは「大人の場合」で、小学生低学年ぐらいまでの子供の場合、靴を脱いで基本的に問題ないと思います。
こういう言い方もなんですが、おとなしくしているのがなかなか難しいなか、靴を履いて動かれるよりは……。
今後は「ナシ」が標準に?
社会通念やマナーは、時代とともに変化します。
「車内で靴を脱ぐ」行為については、より品がよく、衛生的な方向で変わっている感じです。
今後、「靴を脱ぐのはダメでしょ」が共通認識になる時代が来るかもしれませんね。
ただ逆に言えば、現在は「別に問題ないでしょ?」と思っている人が、少なからずいるのも事実。
人や世代によって「常識」が違っているのが現実。
冷静な対応をオススメしたいです。
