JR山口線とその駅、列車、沿線などについて、鉄道ライターの恵 知仁が個人的な経験に基づき、ご紹介します。何かのお役に立てましたら幸いです。
内容は正確を期すよう努めていますが、記憶違いが紛れているかもしれません。写真はトリミングしている場合、現在とは異なる社会的状況で撮影された場合があります。
路線の概要
- 区間・距離・鉄道会社
- 新山口~益田、93.9km、JR西日本
- 駅
- 新山口、周防下郷、上郷、仁保津、大歳、矢原、湯田温泉、山口、上山口、宮野、仁保、篠目、長門峡、渡川、三谷、名草、地福、鍋倉、徳佐、船平山、津和野、青野山、日原、青原、東青原、石見横田、本俣賀、益田
列車
リゾートサルーン・フェスタ
その車両へ乗ることを主目的に、旅へ出かけること。鉄道ファンだったら珍しくないと思いますし、近年は「あの観光列車に乗ってみたい!」的な非鉄道ファンも、多いかもしれません。
もちろん私も経験があり、そのひとつが、JR西日本のジョイフルトレイン「リゾートサルーン・フェスタ」。鉄道趣味雑誌でその写真を見た瞬間、キュートなお顔に心を奪われました。
1989年(平成元年)3月の春休み、埼玉県で中学生をしていた私は東京駅から寝台特急「あさかぜ1号」B寝台に乗車し、小郡駅(現在の新山口駅)から快速「SLやまぐち号」で津和野駅へ。
そしてついに、ご対面です。
触りたくなる唇は可動式で、内部の電光掲示板でメッセージを表示できます。なんだか頭に毛を三本、生やしてみたくもなります。
「フェスタ」の「口」にはスピーカーも付いており、しゃべることも可能ですが、残念ながらこのとき、その声を聞いた覚えはありません。思惑(後述)があって、ドアが開くやいなや速攻で「フェスタ」に乗り込んでしまったのですが、そのとき外では、「フェスタ」がしゃべっていたのでしょうか……。
「フェスタ」は、キハ58系急行形ディーゼルカーを改造して誕生した、全車グリーン車のジョイフルトレイン。3両編成で、先頭車には展望室とリクライニングシートが並ぶ一般の客室がありました。
「フェスタ」の2号車は、ソファーやカウンターを備えたフリースペース。スカイブルーだったかの、パビリオンのコンパニオンのような可愛らしい制服を着用した若い女性アテンダントも乗務しており、発車後には何か(おしぼり?)を配って車内を歩いていたように思います。
なお当時、私は中学生で、貯めていたお金はこの旅のきっぷ代でほぼ消えたため、カウンターで何を販売していたかは不明です。というかお金がないので、車内のカウンターで何かを買うという発想が、そもそもなかったです。ジュースを飲みたかったら、自動販売機で100円でしたし(消費税〈3%〉が導入される直前でした)。
このとき「フェスタ」は、全車グリーン車指定席の臨時快速「ブルーライナー」として長門市~津和野間を特定日に1日1往復しており、私が乗車したのはその長門市駅行き。津和野駅で「フェスタ」のドアが開くやいなや、まず指定された自分の席ではなく、進行方向後ろ側の展望室へ急いで向かい、席を確保しました。
臨時快速「ブルーライナー」の展望室は、フリースペースでした。また後ろの展望室を確保したのは、途中の益田駅で進行方向が変わり、日本海沿いを走る山陰本線の風光明媚な区間では、こちらが先頭になるからです。
多くの人が前の展望室へ向かったなか、逆に進んで、一番後ろの席を確保した私。きっとニヤニヤしていたでしょう。
その車両へ乗ることを主目的に、旅へ出かけること。「フェスタ」は私にそうさせたひとつです。また南海「ラピート」、JR九州「ソニック」の登場でも、私はその車両へ乗ることを主目的に、旅へ出ました。
変な個性的な車両が好きなんでしょうか。