「電車のボックス席」なぜあるの?「嫌・いらない」の声

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記事執筆者
恵 知仁(めぐみ ともひと)

鉄道、乗り物、旅行に関する取材、記事制作などを行っています。鉄道ライター、トラベルライター。日本の鉄道はJR、私鉄とも完乗。東京都在住。子鉄の父。

JR電車にあるボックス席
JR電車にあるボックス席

電車にある、向かい合わせのボックス席。調査の結果、否定的な声も少なからず見られました。

ボックス席はなぜ存在し、どんなメリット、デメリットがあるのでしょうか。「嫌」「いらない」の理由はなんなのでしょうか。

鉄道ライターが、その経験などを元にお答えします。

ボックス席のルール、マナーについては、次のページをご覧ください。

首都圏のJR電車でボックス席が何号車、何両目にあるかについては、次のページをご覧ください。

ボックス席のメリット

電車のボックス席、そのメリットはおもに次の点でしょうか。

  • 座席数を多くしやすい
  • 車窓が見やすい
  • ちょっとした一種の個室感がある
  • グループで乗るときに会話などがしやすい
  • 飲食しやすい

まとめると、「着席できる機会が増えやすい」「旅行気分が盛り上がる」「落ち着く」「グループで楽しい」といったところだと思います。

ボックス席は窓側に小さなテーブルを備える場合があるほか、窓枠部分に何かを置くことも可能です。

気を抜いて窓枠部分に缶コーヒーを置いてしまい、電車が揺れたときにこぼれた経験もありますが……。

「4人掛けボックス席」のイメージ
「4人掛けボックス席」のイメージ

ボックス席のデメリット

電車のボックス席、そのデメリットはおもに次の点でしょうか。

  • 通路が狭くなる
  • 詰めて乗りにくい
  • ボックス席への出入りがしづらい
  • 乗り降りに時間を要しがち
  • 車内の見通しがよくない
  • 知らない人同士で同じボックスに座るのは気まずい

まとめると、「混雑に弱い」「動きづらい」「落ち着かない」「気をつかう」といったところだと思います。

混雑する大都市の路線や地下鉄でボックス席が少ないのは、これらデメリットが混雑に拍車をかけてしまう、というのが大きな理由です。

ただ地方の路線でも、朝の通学時間帯などに集中して混雑し、ボックス席のデメリットが大きくなっていることがあります。

なぜ電車にボックス席がある?

比較的長い距離を走る列車の座席は、昭和以前からボックス席が主流でした。

ある程度の時間、快適に、できるだけ多くの人に乗ってもらうことを考えたら、ボックス席の採用は合理的といえるでしょう。

令和の現在もボックス席が残っているのは、先述のメリット、デメリットを踏まえた結果のほか、長らくその座席が普通であること、変化させると賛否両論が起こりうるため前例を踏襲したこと、などが考えられます。

昔ながらのボックス席
昔ながらのボックス席

ボックス席は嫌われている?

2025年11月、電車の「ボックス席」について調べていると、次のキーワードでネット検索する人が少なからず存在することがわかりました。

  • ボックス席 なぜ
  • ボックス席 理由
  • ボックス席 嫌い
  • ボックス席 気まずい
  • ボックス席 いらない
  • ボックス席 出れない
  • ボックス席 狭い
  • ボックス席 メリット

ボックス席がある車両を探す人も多かったですが、そこに「ボックスシートを避けたい人」が含まれている可能性も考えられるでしょう。

個人的な肌感覚ですが、「知らない人同士でボックス席に座るのは嫌だ」という人も、昔より増えている印象があります。

なのでこれら検索キーワードに対して、意外さは感じていません。

「ボックス席がよい」と思うとき

個人的に「ボックス席がよい」と思うのは、次の場合です。

  • 車内が空いているとき
  • グループでひとつのボックス席を定員利用できるとき
  • 車窓を楽しみたいとき

「車内が空いているとき」は、具体的には「4人掛けボックス席あたり2人までの乗車率」の場合、でしょうか。3人以上になると、窮屈感が出てきます。駅弁などを楽しむにも、気が引けてきます。

ただ「グループでひとつのボックス席を定員利用できるとき」であれば、問題になりませんね。

「車窓を楽しみたいとき」は、窓側を確保できた場合に限ります。

ボックス席の車窓(磐越西線)
ボックス席の車窓(磐越西線)

「ボックス席は嫌」と思うとき

個人的に「ボックス席は嫌」と思うのは、次の場合です。

  • 車内が混んでいるとき

「車内が混んでいるとき」は、具体的には「4人掛けボックス席に3人以上が着席」の場合、でしょうか。窮屈感が出てきまし、駅弁などを楽しむにも気が引けてきます。

私は昭和生まれで、ボックス席の経験がそれなりにあるため、知らない人と相席になって気まずいとまでは思いませんが、長椅子のロングシートのほうがその点、気楽だとは思います。

ボックスシートとロングシートがあわさった車両
ボックスシートとロングシートがあわさった車両

ボックス席は廃止へ?

ボックス席は今後、減っていくかもしれません。

かつて、横須賀・総武快速線の普通列車、快速列車はボックス席も備えていましたが、その車両は2025年(令和7年)までにすべて引退。かわって新たに横須賀・総武快速線へ導入された車両は、長椅子のロングシートとグリーン車だけになっています。

「多くの乗客を効率的に、スムーズに輸送する」ことに弱点があるボックス席。言ってしまえば、安全、安定輸送を第一とする鉄道会社にとって、ボックス席を一般の電車へ設置することに、大きなメリットがありません。

いまなおボックス席が残っている路線において、横須賀・総武快速線と同様に、車両が新しくなるタイミングでボックス席が廃止されても、おかしくはないでしょう。

ボックス席を求める乗客の声も、昔よりは大きくはないように思います。

ボックス席を廃止した横須賀・総武線快速線の新型E235系電車
ボックス席を廃止した横須賀・総武線快速線の新型E235系電車

孤独感を味わえる通学時間帯

さて、ボックス席と地方の鉄道路線における通学時間帯、の話。

旅行中の私がひとりでボックス席に座っていると、停車駅ごとに通学する中高生が増えてくるわけですが、多くの場合、私がいるボックス席に彼ら、彼女らは座ってきません。

通路に立つ中高生が多くなってきても、私のいるボックスは私ひとり、だけなんてこと、あるあるです。

こうなる理由について、「ボックス席」というひとつの準閉鎖空間を見知らぬ人と共有することに対する抵抗感、みたいなものがあるのでしょうか。「私そのものが避けられている」という観点は、ひとまずおいといて。

しかし東京周辺など、大都市圏のボックス席ではこうならないのも、興味深いです。中高生も大学生も大人も、空席があれば狙いすましてやってきます。

「電車のボックス席」お役立ち情報

ボックス席のルール、マナーについては、次のページをご覧ください。

首都圏のJR電車でボックス席が何号車、何両目にあるかについては、次のページをご覧ください。

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