
夜行運転も行う、JR東日本の新たな特急列車「ルナ・アズール(Luna Azul)」。JR東日本は2026年6月9日(火)、その切符について「旅行商品での販売予定」であることを明らかにしました。
これについて、デメリットはもちろん考えられますが、個人的には肯定的、良かったと捉えています。
「旅行商品」のデメリット
「旅行商品」とは、かんたんにいうと乗車券や特急券、グリーン券、そのほかのサービス、場合によっては宿泊や現地観光などをひとまとめにし、旅行パッケージとして販売する、という意味です。
「ルナ・アズール」の切符は、一般的な新幹線や特急列車のようにJR東日本のインターネット予約サービス「えきねっと」や「みどりの窓口」では販売せず、旅行会社経由で販売する、となるのでしょう。
この「旅行商品として販売」について、乗客側の立場として考えられるデメリットは、大きくまとめると、次のようなところでしょうか。
- なんだかんだで料金が高くなりやすい
- なんだかんだで旅の自由度が制限されやすい

「旅行商品」に肯定的な理由
しかし現在のところ、個人的に乗客の立場で考えた場合、「旅行商品で販売」はポジティブに捉えています。
「10時打ち」をしなくていいからです。
困ってしまう「サンライズ」
人気の寝台特急「サンライズ出雲」「サンライズ瀬戸」は、切符の発売と同時に満席になることが珍しくありません。
切符をゲットするため、その日の早朝から駅の「みどりの窓口」に並び、午前10時00分の発売開始と同時に予約してもらう「10時打ち」が、当たり前のように行われています。
なので、特に鉄道に詳しくない人から「『サンライズ』に乗ってみたいんだけど、予約はどうしたらいい?」と聞かれると、「10時打ち」は万人にはオススメできない方法なので、困ってしまうのが現状です。
「サンライズ」でシングルやソロを1室予約する程度であれば、JR西日本のインターネット予約サービス「e5489」からやってみれば、ともいえるのですが、家族やグループで複数の個室をとりたいだとか、「サンライズツイン」がいいとかになると、なんとも困ります。
対し、「旅行商品で販売」になる「ルナ・アズール」。それでも発売開始時刻と同時に旅行会社のサイトで競うようにネット予約することになるかもしれませんが、「『みどりの窓口』に早朝から並ばないと予約できない」より、多くの人に優しいと思います。
私としては「ルナ・アズール」は、「旅行商品」で、さらに「抽選制」の販売がいちばん望ましいです。ネット予約の先着順も、慣れていない方にはなかなかハードルが高いでしょうし。

「サンライズ」1日より少ない「ルナ・アズール」1週間
寝台特急「サンライズ出雲」「サンライズ瀬戸」は、それぞれ118室の個室があり、ごろ寝のノビノビ座席を含めて、定員は各158人。毎日1往復ずつ走っているため、1日あたり472室、632人が乗車できます。
対し「ルナ・アズール」の室数、JR東日本が発表した編成表を見る限り、定員は次の通りです。
- 1号車:「ルナ・プレミアム(1人用)」1室、「ルナ・プレミアムワイド(2人用)」3室、合計で4室7人
- 2号車:「ルナ・コンフォート(1人用)」16室、合計で16室16人
- 3号車:「ルナ・コンフォート(1人用)」16室、合計で16室16人
- 4号車:「ルナ・コンフォートワイド(2人用)」5室、「ルナ・コンフォートグランデ(4人用)」2室、合計で7室18人
- 5号車:ラウンジ/販売スペース(ルナ・ヴィスタ・ラウンジ)
- 6号車:「ルナ・コンフォート(1人用)」2室、「ルナ・コンフォートワイド(2人用)」5室、合計で7室12人
- 7号車:「ルナ・コンフォート(1人用)」2室、「ルナ・コンフォートワイド(2人用)」6室、合計で8室14人
- 8号車:「ルナ・コンフォート(1人用)」16室、合計で16室16人
- 9号車:「ルナ・コンフォート(1人用)」16室、合計で16室16人
- 10号車:「ルナ・プレミアムワイド(2人用)」5室10人
10両編成全体で95室、定員は125人です。
「ルナ・アズール」の夜行運行は週2往復の予定なので、1週間で380室、500人しか乗車できません。「サンライズ」1日分より少ないです。
令和の時代に貴重な夜行列車として、人口の多い首都圏(品川駅)発着で新たに運行される「ルナ・アズール」。高い注目度が想定されるなか、その切符を一般的な新幹線や特急列車、「サンライズ」と同じ方法で発売したとしら……恐ろしくなってきます。
切符の転売も問題になっている昨今ですしね。

「多くの人に優しい」が鉄道ファン的に望ましいわけ
なぜ私が、「多くの人に優しい」ことに価値を見いだしているのか、です。
鉄道ファンの私は、「鉄道」に普段あまりなじみのない人にも「鉄道旅行の楽しさ」を知ってほしい、楽しんでほしいと思っています。
そうして多くの人に「鉄道旅行の楽しさ」を知ってもらうことは、JR東日本の各路線とその沿線地域にとって活性化に繋がると思います。
そうすることで、「鉄道旅行の楽しさ」を持続可能な形で未来につなげていけるように思います。
玄人しか「ルナ・アズール」を楽しめないとしたら、それは「鉄道の未来」を狭めることになるかもしれません。鉄道趣味も、より収縮していく可能性があるでしょう。
なので、鉄道ファン以外の多くの人が予約しやすいと考えられる「旅行商品での販売予定」を、鉄道ファンの私は肯定的に捉えているのです。できればやはり、抽選販売がいいですね。

抽選販売となると、事実上の抽選販売であるJR東日本の豪華寝台列車「TRAIN SUITE 四季島」のように、「JRE POINTのステージで優遇」とかあるかもしれません。
まあ、JR東日本が潤うことは鉄道ファンの利益にも繋がるので、ある程度は仕方がないでしょう。
「片道乗車プラン」の料金は?
「ルナ・アズール」の料金について、JR東日本は「夜行運転に対応する特急列車により新たな乗車体験を提案します~新たな特急列車「ルナ・アズール」が 2027 年度初に運行開始~(PDF)」のなかで例として、次のように述べています。
大人1名 品川駅~青森駅間、グリーン個室利用で、東北新幹線グリーン車+α程度を想定しています。(参考:東京駅~新青森駅の乗車券・料金券含む大人片道1名金額、「はやぶさ」利用、通常期:24,180円(税込))
このような形で例を挙げているということは、「旅行商品で販売」するとしても「片道乗車プラン」的なものを用意するのかなと思えます。
料金も、もっとも一般的な個室である「ルナ・コンフォート」片道乗車で、1人あたり3万円は行かないぐらいのニュアンスでしょうか。
