
- 湘南新宿ライン
- 上野東京ライン
- 東海道線(伊東線)
- 横須賀線
- 総武線快速(成田線・外房線・内房線)
- 宇都宮線
- 高崎線(上越線・両毛線)
- 常磐線
- 中央線(青梅線)
これらJR東日本の首都圏各路線で走っているグリーン車の料金、よくある疑問・質問について、鉄道ライターがその経験などを元にお答えします。
グリーン車の基本、乗り方、車内、設備、グリーン券の買い方については、次のページをご覧ください。
グリーン料金の基本
グリーン車に乗りたい場合、グリーン券が追加で必要になります。
普段使っている定期券や、Suica、PASMOといった交通系ICカード、モバイルSuica、Apple PayのSuicaにその都度、グリーン券を追加して乗る形でOKです。
グリーン券の料金は、乗車距離によって次のように変わります。
50.0kmまで | 100.0kmまで | 100.1km以上 |
---|---|---|
750円 | 1000円 | 1550円 |

グリーン料金は、どの駅から乗って、どの駅で降りるかによって、違ってくるわけです。
基本的には「長距離ほど安い」
グリーン料金は基本的に、長い距離で利用したほうがお得な料金体系になっています。
たとえば、49km乗車の場合は15.3円/km、99km乗車の場合は10.1円/km、199km乗車の場合は7.8円/kmのグリーン料金です。
グラフにすると、料金が上がる50.1km以上、100.1km以上のタイミングで「1kmあたりのグリーン料金」もアップしますが、全体的には乗車距離が長いほど安くなる、という傾向です。

乗り換え・料金通算も可能
グリーン車の料金は、途中で列車を乗り換えても、条件を満たせば通算できます。
たとえば、新宿駅から湘南新宿ラインに乗って小田原駅へ行き、そこで東海道線に乗り換えて熱海駅まで行く場合、グリーン券は「新宿~熱海」の1枚(1550円)でOKです。
ただし、次の場合は通算できません。
- 「同じ方向の乗り換え」にならない場合
- 乗り換え時に改札口を出る場合
- 乗車区間が重なる場合(御茶ノ水→東京→立川といった形)

東京駅から中央特快のグリーン車で国分寺駅まで行き、そこから中央線快速のグリーン車に乗り換えて西国分寺駅まで行く、といった場合は「同一方向の乗り換え」になるため、通算した1枚のグリーン券でOKです。
乗り換えても通算できる場合は、次の通りです。
ただし、これらの場合でも、「乗り換え時に改札口を出る」「乗車区間が重なる」と通算できません。
東海道線から通算OK
- 同じ方向へ行く東海道線との乗り換え
- 同じ方向へ行く湘南新宿ラインとの乗り換え
- 同じ方向へ行く横須賀線との乗り換え
- 宇都宮線、高崎線、常磐線(上野東京ライン)との乗り換え
- 総武快速線との乗り換え
- 東京方面と、伊東方面との乗り換え
- 東京方面と、鎌倉・久里浜方面との乗り換え
- 熱海方面と、鎌倉・久里浜方面との乗り換え
「川崎方面~横浜~武蔵小杉方面」「川崎方面~品川~武蔵小杉方面」の乗り換えは、通算NGです。
横須賀線から通算OK
- 同じ方向へ行く横須賀線との乗り換え
- 同じ方向へ行く湘南新宿ラインとの乗り換え
- 同じ方向へ行く東海道線との乗り換え
- 熱海方面へ行く東海道線との乗り換え
- 宇都宮線、高崎線、常磐線(上野東京ライン)との乗り換え
- 総武快速線との乗り換え
「武蔵小杉方面~横浜~川崎方面」「武蔵小杉方面~品川~川崎方面」「品川方面~西大井~新宿方面」の乗り換えは、通算NGです。
総武線快速から通算OK
- 同じ方向へ行く総武線快速との乗り換え
- 横須賀線との乗り換え
- 東海道線との乗り換え
中央線から通算OK
- 同じ方向へ行く中央線との乗り換え
- 同じ方向へ行く青梅線との乗り換え
- 東京方面と、青梅方面との乗り換え
「大月方面~立川~青梅方面」の乗り換えは、通算NGです。
宇都宮線から通算OK
- 同じ方向へ行く宇都宮線・高崎線・常磐線(上野東京ライン)との乗り換え
- 同じ方向へ行く湘南新宿ラインとの乗り換え
- 東海道線との乗り換え
- 横須賀線との乗り換え
「宇都宮方面~大宮~高崎方面」「宇都宮方面~上野~水戸方面」「上野方面~赤羽~池袋方面」の乗り換えは、通算NGです。
高崎線から通算OK
- 同じ方向へ行く高崎線・宇都宮線・常磐線(上野東京ライン)との乗り換え
- 同じ方向へ行く湘南新宿ラインとの乗り換え
- 東海道線との乗り換え
- 横須賀線との乗り換え
「高崎方面~大宮~宇都宮方面」「高崎方面~上野~水戸方面」「上野方面~赤羽~池袋方面」の乗り換えは、通算NGです。
常磐線から通算OK
- 同じ方向へ行く常磐線・宇都宮線・高崎線(上野東京ライン)との乗り換え
- 東海道線との乗り換え
- 横須賀線との乗り換え
「水戸方面~上野~宇都宮・高崎方面」の乗り換えは、通算NGです。
湘南新宿ラインから通算OK
- 同じ方向へ行く湘南新宿ラインとの乗り換え
- 同じ方向へ行く東海道線・宇都宮線・高崎線(上野東京ライン)との乗り換え
- 同じ方向へ行く横須賀線との乗り換え
- 新宿方面と、鎌倉・久里浜方面の乗り換え
- 小田原方面と、鎌倉・久里浜方面の乗り換え
「新宿方面~西大井~品川方面」「武蔵小杉方面~横浜~川崎方面」「池袋方面~赤羽~上野方面」の乗り換えは、通算NGです。
乗り換え時の注意点
グリーン車を乗り換える場合、次のタイミングで、座席上のランプ部分へ、グリーン券を購入したスマートフォン、交通系ICカードをタッチする必要があります。
- グリーン車から降りるとき
- 次の列車のグリーン車へ乗ったとき

常磐線で「土浦~上野」、上野東京ラインで「上野~戸塚」、横須賀線で「戸塚~鎌倉」といった乗り継ぎでも、通算OKです。
おもな駅のグリーン料金
東京、新宿、横浜、鎌倉、熱海、大宮といったおもな駅と、首都圏各駅とのあいだのグリーン料金について、詳しくは次の料金表をご覧ください。
東京都内の駅まで
東海道・横須賀線方面の駅まで
宇都宮・高崎・常磐線方面の駅まで
総武線快速方面の駅まで

どこまでが50km?
グリーン車は、50.0kmまでの乗車なら750円の差額追加で利用できます。
所要時間で考えると、おおよそ50分程度の距離ですね。
東京駅から50km
東京駅から50.0kmに収まるのは、次の各駅までです。
- 東海道線の大船駅まで
- 横須賀線の北鎌倉駅まで
- 中央線の西八王子駅まで(青梅線は羽村駅まで)
- 高崎線の北本駅まで
- 宇都宮線の久喜駅まで
- 常磐線の藤代駅まで
- 総武線快速の四街道駅まで(外房線は鎌取駅、内房線は八幡宿駅まで)
新宿駅から50km
新宿駅から50.0kmに収まるのは、次の各駅までです。
常磐線、総武線快速方面から新宿駅へ、1枚のグリーン券で行くことはできません(「千葉~東京」と「東京~新宿」といった形で2枚必要)。

どこまでが100km?
グリーン車は、50.1kmから100.0kmまでの乗車なら、1000円の差額追加で利用できます。
所要時間で考えると、おおよそ100分程度の距離ですね。

東京駅からの場合、新宿駅からの場合とも、熱海、高崎、宇都宮といった主要な駅へは、微妙に届かない感じです……。
東京駅から100km
東京駅から100.0kmに収まるのは、次の各駅までです。
- 東海道線の湯河原駅まで
- 横須賀線の久里浜駅まで
- 中央線の大月駅まで(青梅線は青梅駅まで)
- 高崎線の新町駅まで
- 宇都宮線の石橋駅まで
- 常磐線の岩間駅まで
- 総武線快速の成東駅まで(成田線は成田空港駅、外房線は上総一ノ宮駅、内房線は君津駅まで)
新宿駅から100km
新宿駅から100.0kmに収まるのは、次の各駅までです。
常磐線、総武線快速方面から新宿駅へ、1枚のグリーン券で行くことはできません(「土浦~東京」と「東京~新宿」といった形で2枚必要)。

子供のグリーン料金
グリーン車の料金は、大人、子供(小学生)とも同じです。
未就学児(幼児、乳児)は、大人もしくは子供(小学生)1人につき2人まで、無料で席を利用可能。アテンダントが車内巡回後に、座席上のランプを「緑(利用中)」へ変えてくれます。

混雑時、可能であれば、未就学児は大人の膝の上に座らせるとスマートですね。年中、年長さんぐらいになってくると、厳しいと思いますが……。
割り引きで安く乗る方法
JRE POINT
JR東日本のポイントサービス「JRE POINT」を使えば、乗車距離にかかわらず、600ポイント(600円相当)でグリーン車に乗ることが可能。100.1km以上乗る場合は、950円お得です。
「JRE POINT」のステージによっては、もっとお得にグリーン車へ乗ることもできます。「ステージ3」なら500ポイント、「プレミアム」なら400ポイントでOKです。
JRE BANK
JR東日本のインターネットバンク「JRE BANK」では、最大で年4回、乗車距離にかかわらず利用できるグリーン券がプレゼントされます。
ただ、50万円以上の資産残高が必要です(ほかにも細かい条件がありますが、問題ないでしょう)。

グリーン定期券
グリーン料金が込みになったグリーン定期券も発売されていますが、お得というより、手間が省ける感じです。
週5でグリーン車に往復で乗る人、出費より手間を減らしたい人以外は、気にしなくてよいと思います。
元を取るには?
グリーン定期券の料金は、乗車距離ごとに変わります。
乗車距離が49.1kmから50.0kmの場合、3か月用の料金は、通常の通勤定期券が6万9150円、グリーン定期券が16万4700円です(乗車区間により若干の違いあり)。
その差額は、9万5550円。
50.0kmまでのグリーン料金は750円なので、3か月で128回(64往復)以上グリーン車を利用すれば、お得になる計算です。
3か月で64往復というと、月21~22往復。平日に毎日、通勤でグリーン車を往復利用するなら多少お得になるかもしれませんが、休みの状況によっては元が取れない場合もありえるでしょう。
グリーン定期券の料金設定は基本的に、こんな感じになっています。
1か月用のグリーン定期券は「お得」へのハードルが若干上がり、月22~23往復以上でお得になるかも、です。
6か月用のグリーン定期券は発売されていません。

メリットは?
より頻繁に乗る場合はともかくとして、グリーン定期券のメリットは一般的に、グリーン券購入の手間が省けるぐらいでしょうか。グリーン券の都度購入なら、JRE POINTなどでお得に乗ることもできますしね。
ただ、その手間が省けることに意味がある方も、いらっしゃることでしょう。
グリーン定期券は、モバイルSuica、Apple PayのSuica、駅の券売機などで購入できます。
詳しい料金は、モバイルSuica、Apple PayのSuicaからグリーン定期券の購入を進めていけば、その途中で確認可能です(確認したら購入手続きを中止すればOK)。
学生用・通学用のグリーン定期券はありません。子供(小学生)用はあります。
回数券は?
グリーン車の回数券は、ありません。2004年(平成16年)までは発売されていましたが。
学割は?
グリーン車の料金に、学割は効きません。
JRの切符で学割が効くのは、片道100.1km以上乗る場合の乗車券(運賃)だけです。
グリーン料金の注意点
安いのはSuicaグリーン券
グリーン券は、次の2種類があります。
- Suica、PASMOなどの交通系ICカード、モバイルSuica、Apple PayのSuicaにグリーン券情報を記録して乗車する「Suicaグリーン券」
- 駅の窓口や券売機、車内で購入する「紙のグリーン券」
「紙のグリーン券」で乗車すると、グリーン料金が「Suicaグリーン券」より260円高くなります。
立って乗っても料金は必要
グリーン車が満席で、そのデッキ(乗降口)や通路に立って乗車したとしても、座った場合と同額のグリーン料金が必要です。
満席を理由に通常の車両へ移る場合、そのときにアテンダントへ申し出れば、駅でグリーン料金を払い戻せる証明書を発行してくれます。払い戻しの手数料はかかりません。
JRE POINTのグリーン券で乗車した場合も、同様に証明書をもらえば、ポイントを戻してもらうことが可能です。
よくある質問
- Qグリーン車の料金は高い?
グリーン料金は、「50.0kmまで750円」「100.0kmまで1000円」「100.1km以上1550円」です。
対し、特急「踊り子」「湘南」「あずさ」「かいじ」「富士回遊」「あかぎ」「ひたち」「ときわ」「成田エクスプレス」「しおさい」「わかしお」「さざなみ」の特急料金は、チケットレス乗車なら「50.0kmまで660円」「100.0kmまで920円」「150.0kmまで1480円」。
グリーン料金は特急料金より高いので、「高い」といえば高いかもしれませんね。
ただ先述した各特急列車は、通常より低く特急料金が設定されているため、相対的にグリーン料金が高い感じになっている、というのもあります。
JR東日本は、自らの「JRE POINT経済圏」をより活性化させるため、安くグリーン車へ乗りたいならJRE POINTを貯めて使ってね、という方針に思います。
そのステージが「プレミアム」だと、乗車距離にかかわらず400円相当でグリーン車に乗ることが可能です。
- Q土日のグリーン車の料金は?
グリーン車は以前、料金が「平日料金」と「ホリデー料金(土休日など)」で違っていましたが、2024年(令和6年)3月16日から、曜日による料金の違いはなくなりました。
曜日にかかわらず、グリーン料金は通年で同じです。
- Qグリーン車の車内料金は?
グリーン車は以前、料金が「事前料金」と「車内料金」で違っていましたが、2024年(令和6年)3月16日から、この違いはなくなりました。
現在は「Suica、PASMOなどの交通系ICカード、モバイルSuica、Apple PayのSuicaにグリーン券情報を記録して乗車する場合の料金(Suicaグリーン料金)」と、「紙の切符(通常料金)」の2種類になっています。
Suicaグリーン料金は、通常料金より260円安いです。
- Qグリーン券1枚で行ける最長はどこからどこまで?
東海道線の沼津駅(静岡県沼津市)から、常磐線の高萩駅(茨城県高萩市)まで、1枚のグリーン券で乗車できます。
その距離は294.5km。グリーン料金は1550円なので、1kmあたり5.6円のグリーン料金で利用できる形です。
沼津、高萩駅とも、グリーン車付きの列車は本数が少ないので、あまり現実的ではないですけども。
- Qタダ乗りできる? バレない?
抜け道は、いろいろなものに存在しますが、タダ乗りは「抜け道」ではなく「不正乗車」「犯罪」です。
鉄道営業法違反などに問われ、前科がつく可能性もあります。
- Qアテンダントがいない区間があるって本当?
乗務スケジュールの都合などにより、グリーン車にアテンダントがいない場合があるのは、事実です。
グリーン券を車内で購入しようと考えていた場合は、下車駅で申告して精算できます。
アテンダント不在をいいことに、不正乗車している人がいるとしたら、哀れですね。
- Qグリーン料金を払い忘れたら? あとから払える?
車内でグリーン料金を支払う予定だったものの、アテンダントが不在だった、時間がなかったなどの理由で、できなかった……という場合もあると思います。
そんなときは、下車駅の改札口などで申告し、精算することが可能です。
- Qグリーン車に無料で乗れる場合があるって本当?
その路線へグリーン車を新たに導入する場合、その営業準備が完了するまで、無料でグリーン車に乗れる場合があります。
2025年(令和7年)3月15日(土)から営業がスタートした中央線、青梅線のグリーン車も、準備が整う3月14日(金)までは、「お試し期間」ということで無料でした。